1000万円を突破したところで考えたい本格的な資産運用。
資本(元本)のレバレッジを使って資産増加を加速させたいところですよね。
どこで投資をするべきかというと、多くの人が株式投資を検討に入れると思います。
そして、多くの人が「株式投資」を選びます。
(過剰に保守的な人は元本保証の投資や定期預金などを選んでしまうのですが)


今回はこの株式投資で資産運用はすべきなのか、1000万円を運用するとどれくらいのパフォーマンスが見込めるのかについて解説していきたいと思います。
今回の内容
株式投資で資産を運用する選択は思い切り正しい
株式投資といえば、200年以上も他の資産をオーバーパフォームしている資産です。

1位が株式投資で平均リターンが6.7%、続いて長期国債、短期国債、金(ゴールド)、現金(ドル)です。
株式投資を運用先として選ぶのは思いっ切り正解です。筆者自身も一部不動産などありますが、株式投資がメインです(運用方法については後述します)。
株の投資期間はどれくらいが適正?(短期・中期・長期)
株式投資といっても、様々な投資手法があります。
投資期間が短期なのか、中期なのか、長期なのか、多くの人が悩みます。
しかし、デイトレードなど、短期売買をしようとこれから考えている人には申し訳ないですが、バッサリ言ってしまうと株は「長期投資」しかあり得ません。
もう結論が出てしまいましたが、短期、中期、長期投資の特徴をまず列挙していきます。
短期投資
短期投資は明確な定義はありませんがデイトレード、スイングトレードを指すと思います。
デイトレード・・・
1日で基本的に短期売買を繰り返していく取引です。
株価チャートは日足、4時間足、1時間足、30分足、15分足、5分足、1分足などを活用します。
スイングトレード・・・
数日〜2週間程度で株を売買します。株価チャートは週足を活用します。
中期投資
中期投資は1年から2年程度です。
個人的には中期投資など意味がない、というか期間を指定して株式投資をする意味が完全にないので、特に説明はありません。
長期投資
株を永遠に保有する勢いで購入するのが長期投資です。
長期投資が王道です。良い銘柄を購入し、長期で株価が上昇するのを待つ。株式投資はこれが最強です。
このような株は期間で区切る意味が1ミクロンもなく、「中期投資」とは本当に意味不明の概念です。
長期投資はファンダメンタルズ分析をします。企業が参入しているマーケットの大きさと今後のトレンド、その市場に向けたビジネスモデルが適正化、そして毎期の決算で良い結果を出し続けているか。
株の売却を考えるときは、例えば決算を失敗したら売る、国の政策が障壁になる可能性がある、マーケットトレンドが終わったなど、前提条件が崩れた時です。
株価の値動きに感情的になって取引はしてはいけません。
投資期間別のリスク
正直、投資期間別のリスクなど存在しません。
全てリスクがあります。短期投資はリスクが高いとか、長期投資はリスクが低いなどの意見をたまに聞きますが、市場環境にもよりますし、個別銘柄などによります。
等しくリスクがあるわけではありませんが、短期は高リスク、長期は低リスク、などと安易な区切りは褒められたものではありません。
但し、一つ明確に言えるのは、短期より長期投資の方が資産は増加させやすいです。複利効果と時間を味方にできるからです。
ちなみに投資においてリスクというのは下落する危険性のことではありません。価格の値動きの幅のことを指しますので注意しておきましょう。
→ 投資におけるリスクとは?標準偏差を理解してシャープレシオの高い投資を実践しよう!
長期投資は複利効果と時間を味方にできる
株で短期売買をするとなると、テクニカル分析をすることになります。
テクニカル分析とは、銘柄企業の業績などを分析するのではなく、株価自体を分析します。上がる確率の高いチャートパターンを見つけ、購入し、すぐに利益確定します。
利益確定をするとはどういうことかというと、その時点で税金がかかっています20.315%の税金がかけられます。100万円儲かっても手取りは80万円です。10%の利確をしても、それは8%になるのです。
しかし、長期投資は含み益が乗っても利益確定せず、銘柄を持ち続けます。
その際税金はかからず、効率よく含み益が増えていきます。
<長期投資の複利計算>
元本×((利回り(%)÷100)+1)^投資期間
<短期投資(デイトレ)>
元本×((利回り(%)÷100)+1)
投資の神様と言われる、ウォーレン・バフェット氏もこの長期投資で一時は世界3位の大富豪まで上り詰めました。

バフェット氏の約40年間の運用期間におけるパフォーマンスは平均22%です。
株式投資の長期投資こそ、最強の投資であると実績で証明してくれています。
投資手法(グロース株投資とバリュー株投資)
株式投資において投資手法は数えきれないほどありますが、代表的なものはグロース株投資とバリュー株投資でしょう。

グロース株投資
グロース株に投資をするのがグロース株投資です。
グロース株とはその名の通り、成長株です。超成長する銘柄はハイパーグロース株と言います。
グロース株投資の肝は、企業の業績です。
売上高成長率、EPS、そして企業の今後の見通しが決算では発表されます。
それらの数字が連続してアナリスト達の予想を超えている必要があります。決算を失敗するとすぐに売られるのがこの成長株投資で、非常にボラティリティが高い類の投資です。
株価チャートなどは見ません。実際に購入をするタイミングのみ、株価チャートを少しチェックするくらいでしょうか。
グロース株は驚くほどの成長を見せます。売上高成長率が前年比20%、40%、ハイパーグロース株になると100%、150%などもあり得ます。
しかし、成長し続けること、良い決算を出し続けることは至難中の至難の技です。
株主からのプレッシャー、参入している市場の成長の鈍化など企業の成長を阻む障害は無数にあります。
それを乗り越えて良い業績を叩き出すことから、ハイリターン、そしてハイリスクの投資でもあるのです。
とはいえ決算を最大限にチェックすることが大切になりますので、実はそこまで高度な投資ではないことも事実です。しかし、リスクは高いです。
相当なリスク許容量が試されますので、投資歴が数年と浅い人にはあまりおすすめできません。数十万円程度から始めるのが良いでしょう。
バリュー株投資
バリュー株投資は「割安株」に投資をする手法です。
企業の実態に対して、株価が安いと判断できる銘柄を購入します。
こちらはグロース株とは対照的に、ローリスクミドル or ハイリターンの投資です。
こちらは市場が下落している局面でも、すでに安い株価なのでそこまでダウンサイドリスクはありません。
ファンドマネジャーの腕次第ではありますが、リーマンショックなどでも乗り切れてしまった投資手法でもあります。
バリュー株投資については、とても深い、ファンドマネジャーの手腕次第で100にもなるしマイナス100にもなる投資です。
詳しい考察はこちらの記事「バリュー株投資とグロース株投資はどっちがおすすめ?あらゆるデータから両者を徹底比較」で書いています。
基本的に「PER」が低いから割安、「PBR」が低いから割安、など陳腐な判断をして投資をするのがバリュー株投資ではないのでそこは誤解がないようにしたいです。
むしろ、大きく間違ってます。怒りすら感じるレベルです。
バリュー株投資は決算をしっかり読み解く力が試されます。
バリュー株投資は投資の神様であるウォーレン・バフェット氏の師匠、ベンジャミン・グレアム氏の投資手法です。
バリュー株をBSでフィルターして探し出します。以下の計算式に当てはまる企業を探し出します。
純現金性資産>時価総額
ここまでは作業です。バカでもできます。
ここからは、実際にファンダメンタルズな要素を炙り出し、実際に企業訪問(個人投資家には相当ハードルが高い)なども行い、十分な情報を獲得した上で、投資実行までの判断をします。
ここは投資家の腕次第で、バリュー株投資は再現性がない投資なのです。
バリュー株投資を実行しているファンドなどに頼るしか、基本はありません。

「バリュー株投資をしている」という人をたまに見かけますが、投資を始めて5年に満たない人ができる投資だとは筆者は思っていません。
なぜなら筆者もバリュー株投資に挑戦しましたが、うまくいかなかったからです。
しかし、バリュー株投資を習得できれば、ダウンサイドリスクを抑えながら、相当なリターンを獲得できるとも思っています。
結論、安定した運用を目指す「資産運用」であればバリュー株投資が向いていると思います。
グロース株投資は大きなキャピタルゲインを狙う「一発逆転」的な投資であり、相当なリスク許容度が必要になりますので、着実に資産を増やしたい人はバリュー株投資が良いでしょう。
以下は2000年から2018年の米国のデータですがバリュー株の成績が大きくグロース株を上回っていますので、長期データから見てもバリュー株優位に感じますね。
コロナショック後はグロース株が有利になっていますが、それは一時的な可能性もあり、やはりデータは長期で見る必要があります。

<小休止>高配当株投資はどうでしょう
なしです。高配当を出す企業とは成長余地がない企業です。
事業に投資をせずに株主に還元することを最優先にしているのです。
配当を貰えても、株価が下がり元本が毀損する可能性が高いです。
米国のアップルやP&Gなども配当を出していますが、高配当ではありません。
配当を出している企業への投資が危険なのではなく、高配当を出している企業がダメなのです。

結局1000万円を株で運用するなら?
個別株に自分で挑戦するのもありでしょう。
しかし、難易度は非常に高いですし、それにはリスクが伴います。
株式投資とは歴史上最もリターンを生んでいますが、リスクも高い投資になります。
1000万円で全力株式投資は、あまりおすすめしたくないです。

そこで選択肢になってくるのが、株式投資を扱う投資信託とヘッジファンドになってきます。
プロの投資家に、ハイリターン先の資産を運用してもらうということです。
関連:エンダウメントの投資戦略を参考に長期的に資産を形成しよう!オルタナティブ投資を活用し資産分散を行うメリットについてお伝えする。
投資信託(インデックス型・アクティブ型)
投資信託にはアクティブ型投信、インデックス(パッシブ)型投信が存在します。

パッシブ型投信はTOPIXやS&P500などの代表的な株価指数と連動するパフォーマンスを目指すことになります。
つまり、株式市場が成長するかどうか、成長すると思うのであれば、インデックス投信は「買い」です。
アクティブ型投信は上記のインデックス型投信のパフォーマンスを超えるリターンを目指していきます。ファンドマネジャーの腕次第の運用になります。
具体的なリターンは金融庁が公表しています。
分類 | 5年累積 リターン平均(%) |
5年シャープ レシオ平均 |
全ファンド (パッシブ) |
22.6 | 0.4 |
全ファンド (アクティブ) |
9.7 | 0.2 |
国内株式 (パッシブ) |
40.0 | 0.5 |
国内株式 (アクティブ) |
30.9 | 0.4 |
先進国株式 (パッシブ) |
37.0 | 0.47 |
先進国株式 (アクティブ) |
12.0 | 0.23 |
新興国株式 (パッシブ) |
15.2 | 0.24 |
新興国株式 (アクティブ) |
12.8 | 0.20 |
グローバル株式 (パッシブ) |
32.6 | 0.44 |
グローバル株式 (アクティブ) |
8.2 | 0.17 |
インデックス型投信の5年累積リターンは22.6&、これは年利回り4.15%程度に収束します。
以下は1000万円を4.15%で運用した場合です。
投資元本 | 利回り | |
1年 | 10,000,000 | 415,000 |
2年 | 10,415,000 | 432,223 |
3年 | 10,847,223 | 450,160 |
4年 | 11,297,382 | 468,841 |
5年 | 11,766,224 | 488,298 |
6年 | 12,254,522 | 508,563 |
7年 | 12,763,085 | 529,668 |
8年 | 13,292,753 | 551,649 |
9年 | 13,844,402 | 574,543 |
10年 | 14,418,944 | 598,386 |
11年 | 15,017,331 | 623,219 |
12年 | 15,640,550 | 649,083 |
13年 | 16,289,633 | 676,020 |
14年 | 16,965,652 | 704,075 |
15年 | 17,669,727 | 733,294 |
15年で1000万円が17,669,727円となりました。7,669,727円のリターンです。
アクティブ型投信の5年累積リターンは9.7%、これは年利回り1.86%に収束します。
以下は1000万円を1.86%で運用した場合です。
投資元本 | 利回り | |
1年 | 10,000,000 | 186,000 |
2年 | 10,186,000 | 189,460 |
3年 | 10,375,460 | 192,984 |
4年 | 10,568,443 | 196,573 |
5年 | 10,765,016 | 200,229 |
6年 | 10,965,245 | 203,954 |
7年 | 11,169,199 | 207,747 |
8年 | 11,376,946 | 211,611 |
9年 | 11,588,557 | 215,547 |
10年 | 11,804,105 | 219,556 |
11年 | 12,023,661 | 223,640 |
12年 | 12,247,301 | 227,800 |
13年 | 12,475,101 | 232,037 |
14年 | 12,707,138 | 236,353 |
15年 | 12,943,490 | 240,749 |
15年で1000万円が12,943,490円となりました。2,943,490円のリターンです。
株価指数に連動するインデックス投信の方が利回りが高いですね。
ファンドマネジャーは解雇されてしまいそうです。
投資信託を選ぶのであれば、インデックス型投信の方が良いということが明確にわかりました。
ただし、インデックス投資は始める期間によってバラツキがあることも理解しておきましょう。
10年スパンで利回りがマイナスになった時期が過去にはあります。
インデックス投資をするというのは、いつ始めたかの「運」も必要になってきます。

では、ヘッジファンドに投資をするという選択肢はどうでしょう。
ヘッジファンドで資産運用
ヘッジファンドには様々な種類があります。

基本的に最低出資額も1000万円以上からであることが多く、公募はされていないので情報も少なく、自分で情報を取りに行く必要があります。
ヘッジファンドの戦略として有名なのが、
- 株式ヘッジ
- イベントドリブン
- マクロ
- レラティブバリュー
- マルチストラテジー
- その他(地域別、通貨別、特定テーマ)
などです。
海外のヘッジファンドで有名なのが、TCIファンドマネジメントやルネッサンステクノロジーです。
2019年の利回りがTCIは40%を超えるなど、世界レベルのファンドマネジャーは度肝を抜くリターンを記録しています。
海外のヘッジファンドに投資をしたいところですが、最低出資金が1億円以上であったり、英語でやり取りをするなど手続きも難しく、国内投資かが出資参加するのは厳しいです。
そこで国内の株式を扱うヘッジファンドに目を向けると、年利回り10%をコンスタントに出すヘッジファンドなど、有力ファンドも存在します。
10%以上の利回りが出れば、1000万円の資産があれば複利効果も生きて資産は飛躍していきます。長期で株式投資を実行しているファンドを選ぶことをおすすめします。
投資元本 | 利回り | |
1年 | 10,000,000 | 1,000,000 |
2年 | 11,000,000 | 1,100,000 |
3年 | 12,100,000 | 1,210,000 |
4年 | 13,310,000 | 1,331,000 |
5年 | 14,641,000 | 1,464,100 |
6年 | 16,105,100 | 1,610,510 |
7年 | 17,715,610 | 1,771,561 |
8年 | 19,487,171 | 1,948,717 |
9年 | 21,435,888 | 2,143,589 |
10年 | 23,579,477 | 2,357,948 |
11年 | 25,937,425 | 2,593,742 |
12年 | 28,531,167 | 2,853,117 |
13年 | 31,384,284 | 3,138,428 |
14年 | 34,522,712 | 3,452,271 |
15年 | 37,974,983 | 3,797,498 |
ヘッジファンドの選び方としては、過去にしっかり実績がある、現実的なリターンを積み上げている、ファンドマネジャーの経歴がしっかりしたもの(高学歴、職歴も明確)、ファンド運営メンバーの経歴などもチェックしましょう。

まとめ
1000万円の資産を株式投資で運用する場合、どのような考え方をすべきかについて紹介しました。
株式投資はハイリスクハイリターンです。大きく利益を獲得できる可能性もありますが、その可能性がマイナスの方向にも同じ角度で存在します。
プロの投資家に任せるのが基本安全だと考え、筆者自身はヘッジファンドに資産の大半を預けてしまっています。
参考にしてみてください。