5000万円といえば富裕層とまではいかないまでも準富裕層という水準になります。
関連:準富裕層の称号:金融資産5000万円以上が見えてくる条件とは?配当・運用生活で精神的余裕を持って暮らせる日々に到達するにはどうすれば良いのか。
2019年の調査では約5200万世帯のうち、上位約470万世帯に位置します。つまり全世帯の上位9%ということになりますね。

参照:野村総研
資産が5000万円まで形成されてくると本格的にリタイアを視野に入れてくる方もいらっしゃるかと思います。
2019年に発表された「老後2000万円問題」の水準を悠々とクリアしていることから安全領域であると一般的には見られがちですよね。老後2000万円問題については以下の記事で紐解いていますので参考にしていただければと思います。

では果たして資産5000万円あればアーリーリタイアすることは可能なのでしょうか?
本日は東京等の都市圏で資産5000万円を保有していた場合に、例えば55歳で一足早くアーリーリタイアできるのか?
という点を主軸にしながら考察していきたいと思います。
今回の内容
資産5000万円あれば何年暮らせる?
まずは、年金等の収入がない場合に何年暮らすことができるのかという点について考察していきたいと思います。
平均的な生活をすれば約16年生活が可能
以下は「老後2000万円問題」で金融庁が算出に用いた高齢無職世帯の収支の図です。

参照:総務省
支出は全体で26万3000円ということになります。つまり年間ベースだと315万円の支出ということになります。
ここから逆算すると資産5000万円を保有していた場合、平均的な生活を行えば約16年は無収入でも生活ができるということになります。
都会で豊かな生活をすると10年で5000万円は消費されてしまう
上記の算定はあくまで日本全国をならした「一般的」な生活を行なった場合です。例えば上記の算定だと住宅費は僅か1.3万円しか加味されていません。
また、資産5000万円を保有している方というのは、ある程度裕福な生活をされて方と想定されます。交際費も当然、一般的な平均レベルとはかけ離れた金額となるかと思います。
人間は一度慣れてしまった生活のレベルを落とすことは困難です。筆者が年収1200万円時代の夫婦の生活費は家賃含めて月40万円ほどでした。子供がいない時代の話ですが主な内訳は以下の通りです。
費目 | 金額 |
家賃 (含む、固定資産税、電気ガス水道等) |
20万円 |
交際費 | 12万円 |
被服費 | 3万円 |
その他 (交通費、家具、医療費等) |
5万円 |
年間にすると約500万円です。すると約10年で何もしなければ5000万円という資金はつきてしまうことになります。
実際、公益財団法人の「生命文化保険センター」の調査でも「ゆとりある老後生活」に必要な金額は月額36.1万円という結果がでています。上記の算出は妥当な算定であるということができるでしょう。
資産5000万円でセミリタイアは可能か?
最近は30代や40代でのEarly Retireを目指すFIRE運用が若者の間で流行しています。FIREは以下の頭文字をとっており、早期にリタイアすることを目的とした活動です。
F:Financial
I:Independence
R:Retire
E:Early
筆者の周りでは30歳で資産8000万円でFIREした人もいますが、田舎に移り住んでコストを抑えて質素に暮らしています。今までの生活水準を維持しながら資産5000万円でセミリタイアをするには非常に厳しいと言わざるをえません。
仮に投資で毎年200万円の配当所得を得ることができたとしても、年間200万円-300万円の収入は維持していかなければいけないでしょう。しかも、一度不況が訪れて配当金の減配や株価が下落すると一気に生活が苦しくなってしまいます。
親から受け継いだ不動産に住んでおり居住費がかからない場合などの特殊な条件が整っていない限り、資産5000万円でのアーリーリタイアは慎重に考えた方がよいでしょう。
55歳でアーリーリタイアは可能か?
一方、近年60歳を待たずに会社から若干多い退職金を受け取って退職をするアーリーリタイアとなると現実感が出てきます。
そもそも退職一時金の支払い額が多い
55歳でリタイアする場合は会社は通常の退職一時金よりも多い金額をもらえます。厚生労働省の調査によると早期退職をする場合は退職金が優遇され約2300万円貰える計算になります。
5000万円を保有していたら、これだけで7000万円の資産を保有することになるということですね。
100歳まで生きる前提で必要な資産を算出する
まず先ほどの算定の通り、55歳から65歳までの10年間で必要な金額は以下となります。
年額500万円×10年間=5000万円
65歳からは年金を受け取ることができますので年金を加味した上で必要な資金を算出していきます。
以下ではサラリーマン世帯を想定します。サラリーマンは厚生年金を受け取ることができます。平均的な収入平均、つまり賞与含む月額換算で43.9万円で40年間就業した場合に受け取り始める年金の給付水準は夫婦で22万円となります。
55歳時点で5000万円の資産を構築できている方の給与水準は高いことが想定されるため、30万円が支給されると考えます。
すると生活費との差額は月額10万円となりますので、年間120万円追加で拠出が必要という計算になります。35年間で考えると4200万円となりますね。
つまり、55歳から65歳までの10年間で5000万円、65歳から100歳の35年間で4200万円が必要となり、合計で9200万円が必要となるという算定になります。
7000万円あったとしても、まだ不足しますね。ただ、これをもってアーリーリタイアできないかといえば、アーリーリタイア自体を行うことは可能となります。
余剰資金を資産運用で殖やしながら取り崩そう!
最初の7000万円は即座に取り崩されるわけではありません。毎年500万円ずつ取り崩しが行われるため、最低でも6000万円分は資産運用に回すことができます。
関連:金融資産6000万円あれば運用だけで生活は可能なのか?ミニリタイア・セミリタイア・完全リタイアのそれぞれの可能性を検証。サラリーマンを続けながら富裕層を目指す?
しっかりと分散を効かせたポートフォリオを組成することで最低でも年率5%以上、上手くいけば10%以上のリターンを安定的に狙うことができます。
資産運用をするのであれば、やはり中核となってくるのは株式投資です。株式投資というとギャンブルというイメージを持たれている方が多いと思いますが、それは個別株投資を意識していることに起因しています。
今流行している株価指数などのインデックスに投資すれば長期的に安定したリターンをだすことが可能となります。今まで株価指数は世界株で平均年率5%程度、最も歴史のある米国株指数で7%ほどのリターンを超長期でだしています。
以下Stockと書かれているのが米国の株価指数のリターンです。超長期では安定したリターンを出していますね。

仮に6000万円から毎年7%のリターンを得ることができたら、税引後でも350万円近い収益となります、毎年の取り崩しを150万円近くまで抑えることができるので大きなマージンが生まれることになります。
65歳時点で5000万円以上を残して年金生活を迎えることができます。しかし、株価指数への投資には注意しなければいけない点があります。
株価指数は10年程度ではリターンは不安定となる
株価指数への投資は30年以上の超長期であれば安定したリターンを叩き出しますが、毎年のリターンでみると以下の通り凸凹です。
以下は米国の代表的な株価指数であるS&P500指数の1928年からのリターンのデータです。定期的に大きなマイナスを出すとしも存在してます。

参照:Fourpillar
では10年間投資した場合はどうなるでしょうか?
10年間のリターンをプロットしたものが以下となります。これは例えば1928年のデータは1928年から1937年まで10年間投資したデータ、1929年のデータは1929年から1938年まで10年間投資したデータというようにプロットしていったものです。

10年間投資してマイナスのリターンになってしまうことも十分にあるのです。ゲームの世界であれば勝つ確率が高いのでよいですが、実際の自分の老後資金と考えると10年投資しても資産が減ってしまっては生活が立ち行きませんよね。
30年間投資すればリターンは以下の通り安定するのですが、55歳の時点でリタイアするのであれば重要なのは10年の成績です。30年間も待っていることはできないのです。

インデックスへの投資も55歳でのアーリーリタイアということを考えるとリスクの高い投資先ということになるのです。
安定したリターンを出すヘッジファンドという選択肢を考えよう!
個別株投資も危険だし、株価指数への投資もリスクが高い。ではどうすればよいかと不安になられた方が多いのではないでしょうか。
理想的なのは安定的な収益を暴落を経験することなく出し続けてくれる投資先に投資できれば安心してアーリーリタイアを実現することができます。
それを可能にしてくれるのがヘッジファンドという選択肢です。
→ 日本でも知名度上昇中のヘッジファンドとは?投資信託との違い・投資手法・運用を任せるリスクと失敗するファンド選びについて簡単にわかりやすく解説
ヘッジファンドは長期的に株価指数のリターンを上回っているばかりでなく、安定して右肩あがりに上昇しているという特徴があります。

そのため、世界の先進的な年金基金にも積極的にポートフォリオに組み入れられています。以下の記事でも詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

ヘッジファンドは投資信託と違い、腕利きのファンドマネージャーが辣腕を振るって、如何なる市況環境でもリターンを追求する絶対収益型のファンドです。
相場つきを言い訳にせず安定したリターンを追求してくれるので、アーリーリタイアを考えている方にはぴったりの投資先といえるでしょう。
実際、筆者も2013年から国内のヘッジファンドに投資していますが、過去8年間マイナスのリターンの年はなく平均して10%以上のリターンを叩き出してくれています。
以下で筆者が投資しているヘッジファンドについて詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
https://toshin-sc.com/bmcapital/
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- 豊かな老後を送るには年間500万円は必要
- 資産5000万円で30代-40代のFIREは厳しい
- 55歳でのアーリーリタイアは運用を行えば可能な水準
- 投資先は株価指数と安易にい考えるのは危険
- 安定して右肩上がりのヘッジファンドという選択肢を考えよう!